真の実力者のみがミュアフィールドを制す(全英オープン)
7月18日(木)から、全英オープンが始まる。142回目となる歴史あるこの大会。今回の舞台は、1892年から大会の歴史を刻んだミュアフィールド(スコットランド)である。今大会の注目点やプロの技の着眼点などを紹介する。
全英オープンといえば、やはり「リンクス」という舞台装置がまずは注目点だ。強風にうねるようなフェアウエイ、隕石がえぐったようなバンカー、そしてブッシュ。しかし、ミュアフィールドのそれは、少し控えめだ。意外なほどフラットのフェアウエイや他のリンクスほどは深くないバンカー。あまり「リンクス」らしくなく、一見するとやさしめなコースのような印象がある。
しかし、ミュアフィールドで行われた全英オープンの覇者にゴルフファンに馴染みのない選手はいない。ゲーリー・プレーヤー(1959年)、ジャック・ニクラウス(1966年)、リー・トレビノ(1971年)。近年ではニック・ファルドがミュアフィールドの全英を連覇している(1987、1992年)。
このことは言い換えると「このコースで頂にたどり着けるのは真の実力者でなければならない」ということだ。それはなぜなのか。それは、風、正確には風向きにある。ミュアフィールドは、アウトを時計回りにコースの外側を回る。インは、逆に反時計回りに内側を回る。このコース設定がポイントである。各ホールで様々な表情をみせる海風は世界のトッププロの思考さえ狂わせるのだ。
そのため正確に風を読み、正しい場所にボール配給する高い技術が求められる。さらに、この風のハザード加えて巧みに配置されたバンカーが絶妙に効いている。18ホールのどのホールにも気を緩めることなく、ボールコントロールの意識を持てるかが問われるのである。
それが出来るのは、真の実力者だけだ。だからミュアフィールドの覇者はいつもビックネームなのだ。
今大会の注目は1980年にミュアフィールドを制したトム・ワトソンと前年の覇者であり、前回のミュアフィールドの覇者という2つの連覇がかかるアーニー・エルスだろう。彼らの計算されたショットの技術力に注目である。自分ならばどのように攻略するかという視点を大切に彼らの思考の中に、入っていけるように観戦したいものである。
日本人選手では、アジア予選を2位で通過した松山秀樹プロ(東北福祉大学)に注目である。彼のコース適応力の高さはすでにプロ転向数ヶ月で証明済みだ。プロとして世界のトッププロと伍して戦うという経験を積むこの大会は、今後私たちを楽しませてくれるトッププロとして成長する序章となるだろう。