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プロの思考、プロの技。有村智恵プロ@福岡フンドーキンレディース


苛烈なトーナメントの世界を生き抜いていくために身につけられたプロの業(わざ)。これは、高度化された戦略の結晶である。これをケーススタディの手法を用いて分析。そこから出る結論をアマチュアゴルファーにも役立つ法則へと導いてみよう。

今回は、有村智恵プロ(日本ヒューレットパッカード)のフンドーキンレディース初日。15番ホールから起こった3連続バンカーの場面を採り上げる。特に3ホール目の17番ミドルは、第2打が目玉になり、第3打目をバンカーから出せない苦しい展開。3ホール連続でのバンカーは、プロであっても精神的にきつい場面。有村は、この危機を最小限に食い止めるどんな工夫をしていたのだろうか。

謎を解く鍵は、大会前のコメントにある。「厳しいコース。小技といった技術力が試される」。そう宣言して臨んだ今大会。アップダウンのきつい丘陵コースで知られる福岡カンツリー倶楽部和白。打ち上げ、打ち下ろしの距離感をあわせにくいことを見越しての想定だった。うっすらと見えてくる自分の未来図。その「想定」とともに有村は、可能性としては「十分ありえる」と覚悟して、3ホール連続のバンカーショットと向き合っていたのだ。

さらにその想定から有村は対策を打っていた。それはドライバーの安全運転である。このコースでの主戦場はグリーンへのアプローチ。第1打を曲げては次の展望を開けない。ドライバーで無理をしない選択は、16番、17番、18番の第1打がフェアウェイを捕らえるという結果をもたらした。

精神的な備えは、十分な心の余裕を残していた。高い集中力で危機に対処していた有村は、17番の第4打目、2回目のバンカーショットは、ピンそば約30cmのファインショットを見せたのである。このホールをボギーで逃れ、この3ホール連続バンカーの危機をトータル+1で凌いだのである。

そこで見えてくる有村のプロの業(わざ)。それは、「自分に何が起こるのかを予測する力」であり、「その予測に対する備え」といえる。自分に起こることを正しく理解し、それに対して備える。それは、ゴルフのラウンドにおいて、アマチュアゴルファーにも求められる力でもあるはずである。(文中敬称略)

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