買い物時にはマイバッグ持参で【7月からレジ袋有料化】
2020年7月1日から持ち手のついたプラスチック製の買物袋全てが有料化の対象となり、「消費者に1円以上で販売すること」がルールとなります。これに先駆け、一部の流通大手は、この4月から有料化に踏み切っており、買い物に行った際に認識し、少しずつ有料化される意識へとシフトしているのではないでしょうか。
プラスチックは、便利な素材である一方で、廃棄物や海洋プラスチックごみの問題、地球温暖化などの課題にもなっています。レジ袋が有料化されることで、本当にそれが必要かを考え、ライフスタイルを見直すきっかけとなることが目的とされています。
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◆対象となる買物袋
レジ袋の有料化には、いくつかルールがありますので、経済産業省HPから抜粋してお伝えいたします。
あらゆるプラスチック製買物袋を有料化することにより、過剰な使用を抑制していくことが基本ですが、環境性能が認められ、その旨の表示がある以下3点は対象外です。こうした袋への転換を進めるなど、環境価値に応じた価値付け等を推奨しています。
- 1 プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの。
- 繰り返し使用が可能であることから、プラスチック製買物袋の過剰な使用抑制に寄与するためです。
- 2 海洋生分解性プラスチックの配合率が100%のもの。
- 微生物によって海洋で分解されるプラスチック製買物袋は、海洋プラスチックごみ問題対策に寄与するためです。
3 バイオマス素材の配合率が25%以上のもの。
◆大手各社の取組み(一部抜粋)
イオン
4月1日より先行して、プラ製レジ袋、紙袋ともに有料となりました。プラ製レジ袋は、Sから4Lのサイズにより2円から5円で提供。紙袋は大、中、小を一律10円で提供しています。有料レジ袋は順次、バイオマス素材配合や、FSC認証紙などの環境に配慮した素材に切り替えるとしています。
高島屋
レジ袋は植物由来の原料を90%配合したバイオマスプラスチック製に変更し、サイズは大・中・小の3種類と酒用の大・小の2種類を用意。価格は2〜8円となります。手提げ袋は国際機関のFSC(森林管理協議会)の認証を受けた木材を原料とする紙に切り替え、20円(税抜)で販売します。
セブン&アイホールディングス
2030年にレジ袋の使用量ゼロを目指す宣言を公表しています。セブンイレブンでは、バイオマス素材を30%配合したレジ袋の使用しており、7月以降は全量バイオマス素材のものにすべて切り替えるよう調整を進めています。
ファミリーマート
レジ袋を植物由来のバイオマス素材を30%配合したものに切り替えた上で、7月から有料化に踏み切る方針を発表しました。バイオマス素材の配合率が25%以上のレジ袋は有料化の対象外で、この基準を満たしているものの、これを機にプラスチックの使用量削減に取り組む姿勢を示すということです。
ミニストップ
3月2日から5月31日にかけ、千葉市内の3店舗で、同市指定のゴミ袋をレジ袋として使う実証実験をしました。6月にはレジ袋有料化の認知を拡大した上で、7月のレジ袋有料化に切り替えをする予定です。
◆レジ袋有料化の背景
海に流れ込んだプラスチックごみや地球温暖化の問題、海洋プラスチックごみやマイクロプラスチックなどの海洋ごみ問題についても、汚染の実態が報じられたことで、社会的な関心が高まり、2019年6月に開催されたG20での主要議題となりました。日本は議長国として議論を主導。2050年までにプラスチックごみによる追加的な汚染をゼロとする国際合意をとりまとめました。
これを背景にした今回のレジ袋の有料化。今後も環境保全に向けた取組は、加速していくと思われます。
◆世界ではすでに廃止、有料化が進んでいる
プラスチックゴミ削減について世界中の企業が対策に取り組んでおり、プラスチックレジ袋については、すでに世界の多くの国で、廃止や有料化は実施されています。中には、違反すると罰金刑や懲役が科せられる厳しい措置をとっている場合もあります。
エコ先進国が多い欧州では、レジ袋の廃止や有料化が進んでいるだけではありません。消費者の意識も高く、買い物時のマイバッグ持参は当たり前。容器持参でスーパー内の量り売りコーナーを利用します。(以前から量り売りはありましたが、備え付けのビニールは廃止されたようです。)そもそも、それは必要なのか?と考えることが習慣にもなり、エシカルな考え方を基に消費活動が行われています。
◆日本国内のプラスチックごみは、年間900万トンに上る
その内、レジ袋の割合は5%ということで、レジ袋の有料化だけでは根本的解決にはなりません。しかし、毎度「マイバッグはお持ちですか?」と聞かれ、「いいえ」と答える度に少し胸が痛むようになり、「今日こそは忘れない」という思いで買い物に出かける。これが習慣化されると不思議と、レジ袋を買う方に違和感を感じる人が増えてくるでしょう。レジ袋有料化の延長線上には、さまざまな課題や問題があることに気づき、一人ひとりが持続可能な観点から考え行動できるようになることが求められています。
◆「マイバッグを持ち歩く」は大きな流れになっていくか
楽天インサイト株式会社は、「マイバッグに関する調査」(2019年7月5日~8日実施。登録モニター約220万人の中から、全国の20代から60代の男女1000人を対象)を実施し、結果を以下のように発表しました。
[レジ袋利用] | [マイバッグ利用] | |
<レジ袋利用の上位> | 85.5% | 10.9% |
・コンビニエンスストア | 81.3% | 7.0% |
・衣料品店 | ||
<マイバッグ利用の上位> | ||
・スーパー | 44.7% | 71.5% |
・ドラッグストア | 77.4% | 71.5% |
また、マイバッグを使う人/使わない人の各理由の上位は次のとおりでした。
<使う人>
・レジ袋が有料だから 63.9%
・環境にやさしいから 37.2%
・値引きされるから 31.0%
・ポイントがもらえるから 28.6%
<使わない人>
・レジ袋を無料でもらえるから 63.8%
・レジ袋は、家庭等で有効活用しているから 33.9%
(男女別では、男性27.5%、女性40.3%)
・マイバッグの持参が面倒だから 32.4%
(男女別では、男性42.7%、女性21.9%)
スーパーでのマイバック利用率は高く、コンビニでは少ないようです。買う量や立ち寄り方によるのでしょうか。しかし、マイバッグを使う、使わないの理由に於いては、有料か無料に左右されていることがはっきりわかる結果となりました。例外はありますが、7月から義務化されることで、マイバッグ利用者が増えると思われます。マイバッグ持参が面倒だと感じる方にも、これならと思うデザイン、機能性にも優れたモノが、どんどん販売されるといいですね。