
nadav swing / digitalshay
理論は、それがつくられるプロセスを体感してはじめて意味を持つものである。
「ゴルフのスイングは下半身からつくる」。初心者を除くすべてのゴルファーの常識。しかし、それを実践できているゴルファーになると・・・その数は急激に怪しくなる。正しいことを「知っている(解っている)」のに「出来ない」のは、何故なのか。それは、
「下半身からスイングをつくることの重要性を体感できていない」からである。
ここで前回の内容を振り返ろう。素振りの効用である。スイング崩壊の危険性をもつ「ボールがうまく当たらないことへの恐怖」は、素振りを繰り返すことによって得られた「自分のスイングへの自信」によって克服するしかない。そんな内容である。地味な素振り。楽しくない素振り。そんな単調な作業だが、ここで今回のお話とつながってくる。
素振りをした後、どこが疲れているだろうか?
もし、腕が疲れているのであれば「下半身からスイングをつくることの重要性を体感できていない」といえるだろう。腕でスイングすればなんとなるという意識が残っているのである。そんな人は、そこからさらに振りこんでみるといい。
そうすると、腕だけではスイングが出来ないということに気がつくはずだ。さらに、下半身を使う方が力強いスイングが出来、安定性と再現性も高い。下半身からスイングをつくることがいかに合理的か解るだろう。
理論を身につける近道は、そのプロセスを体感してみることである。そうするとその理論の骨格をつかむことができる。素振りをして、腕が疲れるゴルファーは、「下半身でスイングをしなければいけない」と意識が生まれるまで振りこむことである。その意識の芽生えこそが、成長を促進させる秘薬なのである。

朗報は突然やってきた。ルーク・ドナルド参戦!久々の大物選手の来日。舞台は「フェニックスカントリークラブ」。11月は宮崎の季節だ。ルークが参戦する「ダンロップフェニックストーナメント」が15日(木)から。さらに国内女子ツアーの最終戦、「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」が翌週開催。見るもよし、プレーするもよし。秋はスケジュールに「宮崎行き」を書き込んでみてはいかがだろうか。
★チャンピオンコースでプレーする!
秋から春先にかけて維持されるプロ仕様のコースセッティング。難コースをより難しく仕上げられたコースでラウンドする。そんな体験ができるのは、この時期の宮崎の最高の魅力である。
フェニックスカントリークラブ
(宮崎県宮崎市大字塩路字浜山3083)
不死鳥は松林に棲み、太平洋からの海風に乗って舞う。物語は9章立ての3つのストーリー。あなたは物語を紡ぐ主人公だ。クラブハウスに入るとすぐにあなたは光を奪われる。「ダンロップフェニックストーナメント」と共に歩んだこのゴルフ場の歴史を刻んだ荘厳なロビー。物語はここから始まる。住吉・日南・高千穂の3つのコースレイアウトは、驚くほどシンプルだ。当然だろう。このコースの最大のハザードは、不死鳥の愛した松林と海風だからだ。だからラウンドは「悩む」ことと共にある。低い弾道で海風を松林に守ってもらうか、海風を読んで松林を越える高い弾道で勝負するか。世界のトッププロと思考を共有する至福。それがこのゴルフ場の最大の魅力なのである。
宮崎カントリークラブ
(宮崎県宮崎市大字田吉4855-90)
市内を流れる大淀川を挟んで北側に位置するフェニックスゴルフクラブに対して南側、宮崎空港に隣接する位置にこのゴルフ場はある。松林に囲まれ、強い海風が吹きつける点ではフェニックスと同じだが、この2つのゴルフ場の趣は大きく異なる。洋芝にこだわるフェニックスとは対照的にここは、高麗芝にこだわっている。高麗芝の鏡のようなグリーンは、芝目の微妙な違いによって右へ左へとボールを誘惑する。1953年から刻んだこのゴルフ場は、小さな努力を積み重ねて現在の地位を得た。豪華なつくりのゴルフ場とは異なる落ち着いた佇まいこそが名門の証である。
★一流のプレーを見に行く!
宮崎市観光協会は、11月のゴルフトーナメントに連動した各種イベント&キャンペーンみやざきゴルフマンスを展開。宮崎への玄関口、宮崎空港とJR宮崎駅では2大会に関連するイベントを実施。大会を盛り上げている。
★宮崎市近郊の良質ゴルフ場でプレーする!
宮崎大淀カントリークラブ
(宮崎県宮崎市大字長嶺字唯ヶ迫1021)
このゴルフ場で「普通」なのは、料金だけである。行き届いたコースメンテナンス、楽しいラウンドをサポートするキャディ、そして何よりもコースセッティングのワクワク感。左ドックレッグから突然視界に現れるつり橋。池越えの粋な演出の7番がそれを象徴している。1990年代開場の短い歴史ながら、名門ゴルフ場に囲まれた宮崎で揉まれたこのゴルフ場のクオリティは、明らかに「普通を超える」。この水準のゴルフ場を「普通」な料金で楽しめる。ここは「ゴルフ天国宮崎」をある意味証明する場所なのである。
青島ゴルフ倶楽部
(宮崎県宮崎市大字折生迫字大谷4180)
このゴルフ場でプレーできることは、間違いなくゴルファーとして幸福なことである。美しい。とにかく美しい。たしかに風光明媚で知られる日南海岸にあるゴルフ場である。美しくないはずはない。しかし、このゴルフ場の美しさはそれだけでは説明がつかない。視界に入るすべての景色が美しいのである。決してボールが飛んでいかないはずの場所も手入れされているこだわり。やはり美しさは細部に宿るのである。1番ホールに立ったとき、泉のよう湧き出る幸福感はこの場所に立たない限り味わうことはできない。

iPhone – 2011.4.6 (51/365) / loveloveshine
昼下がりの午後、比較的空いている地下鉄の車内。
降りる駅のちょっと手前で、若いサラリーマン風の男性が電車に乗ってきた。きちんとした身なりをしてるので、どこかの会社に所属しているのだろう。
彼は、私の正面の席に座るや否やスマートフォンを取り出し、真剣な表情で画面を凝視し始めた。会議の資料でも確認しているのだろうか、いや商談先からのメールチェックかもしれない。私は、手持ち無沙汰もあって、いろいろ空想してみた。バリバリのビジネスタイムである。仕事に関することをしていると考えるのが自然である。私自身も彼が乗ってくる直前まで、仕事のメールを返信していたのである。
すると、男性は人差し指を下から上に跳ね上げた。
「コイツもか!いい加減にしろ!」
私は、この動作をする若いサラリーマンを見ると、怒りのボルテージが上がるのである。
私は、断言する。スマートフォンを持つ若者がこの動作をしているときに、見ているインターネットのページは、ほぼひとつだ。
「Twitter(ツイッター)である」
予想通り、私が車内をでるときにチラッと見た彼のページは、Twitter(ツイッター)だった。
よほどの特殊な仕事をしているのではない限り、Twitter(ツイッター)のチェックはビジネスタイムに必要はないだろう。
スマートフォンは携帯電話ではない。インターネットに常時アクセスできる情報端末である。この「常時アクセスできる」ということが曲者なのである。なぜなら、私自身が今よりはるか昔にそれに懲りたからである。
私は、今から7~8年前、シャープ製の電子手帳を持っていた。「Zaurus」である。
ワードやエクセルの閲覧、編集も便利だったが、何よりも便利だったのが、「パソコンと同じようにインターネットができる」ことだった。初めは仕事に関するWEBチェックに使えるから便利だと思っていたが、段々使い方の公私混同が激しくなってきた。最盛期は暇さえあればネット接続という毎日。そんな状況だったので、さすがに仕事への悪影響に気がついた。「そもそも外出先でのネット接続は自分の仕事にとって絶対条件なのか」と自問した結果、私はこの情報端末を手放したのである。
先ほどのTwitter(ツイッター)をしている若者への怒りは、昔の自分への怒りなのである。
スマートフォンの爆発的普及で、私たちは今インターネットの常時接続が可能という時代に生きている。大変便利な時代であるが、一方でそれは、ある意味危険なことでもある。なぜならば、仕事に関係ないサイトの閲覧という時間を浪費するツールを常時携帯していることでもあるからだ。道具に罪はない。問われるのは使う人間の情報端末への向き合い方である。
スマートフォン時代に身に着けておくべきことは、自分の仕事の状況に合わせて情報端末を使いこなす智恵であり、結局は自分の仕事に必要な道具をきちんと管理するということである。情報端末もその一つと考えなければならない。ただ、コイツが優れもので、魅力的であることが大問題でもあるのだが・・・。

Det blev en bra hostdag / Vidbynas Golf Club
今月の表紙 <Vidbynas Golf Club(スウェーデン)>
スウェーデン。スカンジナビア半島中央に位置する首都ストックホルム周辺は小さな島々が点在する地域だ。人口800万を超える巨大都市から車で南へ30分あまり。人口6万人程度ながら、交通の要衝でありスウェーデン経済の重要な役割を担うセーデルテリエ。日本人には、馴染みがないが、テニスのビヨン=ボルグの出身地といえば親しみを持ってもらえるだろう。Vidbynas Golf Club(英語風に読めばべビィナスゴルフクラブ)は、セーデルテリエ郊外に位置する。全36ホールで、美しいウォーターハザードと360°フラットなレイアウト。短い夏を過ぎると駆け足で沈む太陽。北欧のゴルフ場は緑よりも黄金色の風景がよく似合っている。
★今月は 9月のアイアン人気アンケートで2位に食い込んだあのメーカーの新展開に注目!!mei-hin倶楽部もチェック!
ゴルファーの皆さんこんにちは。編集部のイチコです。最近、携帯をスマホに替えましたが、指が太いので余計な場所をタッチしてしまうことが多く(笑)少々手こずっています。携帯は電話とメールができればいいと思っていましたが、いろんな無料アプリを試してみると案外おもしろいものですね。今は「持ち物管理アプリ」にハマって、家中のモノの整理を楽しんでいます。ゴルフのアプリでは「スコア管理」や「スイングフォームチェッカー」などもあるんですね。自分に合った使い方を探りながら、この利器とうまく付き合っていきたいものです。(イチコ)
秋になりました。ゴルフのベストシーズン到来です。「ゴルフのリクツ!!」も秋シーズンになり連載再開です。秋のシーズンの連載テーマは「アイアンを使いこなす!」。ラウンド中に最も使うクラブであり、スコアの良し悪しに強く影響を与えるクラブであるアイアン。秋はこのクラブの技術向上を目指しましょう。
1回目の今回のテーマは、「アイアンの特性を知る」です。ウッドと形が違うということは、何を意味するのか。形の特性を活かすスイングとは何かをまずは理解しましょう。
(1)アイアンの役割とスイング

175/365: Chip & Dip / bradleypjohnson
ご存知の通り、アイアンは距離を打ち揃えるクラブ。球の上がる高さの違いを利用して距離を調節していくクラブです。大切なことは、アイアンに飛距離は必要ないという点。ですから、スイングは「コンパクトに振る」ことが原則。コンパクトに振るということは、大きく振らない、クラブを体の近いところで回す工夫が必要であることを意味します。スイングの原則は変えず、ドライバーとは異なるスイングが求められるのです。
(2)アイアンショットのインパクト

アイアンショットの最大の特長はインパクトにあるといっていいでしょう。理想的なクラブの入りは、(ボールの)赤道面に対して鋭角。その理由はアイアンの場合、図にあるようにスイングの最下点がボールの前の下(地下)にあるからです。ティーアップのドライバーショットや払い打ちが原則のFWやUTのショットとは明らかに違う点です。この特徴的なインパクトが強い印象となってミスを誘発します。「ダフリ」はその典型例ですが、インパクトを意識するあまり、手打ちになってしまう・・・。アイアンショットでは、インパクトの強烈なイメージに負けない工夫をスイングに組み込むことが求められるのです。
(3)アイアンショットの2つの視点
(1)(2)を踏まえると、アイアンショットには2つの視点による工夫が求められていることに気がつきます。それは「アイアン用のスイングをうまく行う工夫」と「ミスを減らすための工夫」です。アイアン用のスイングは、体の動き一つ一つに「合理的な理由」が隠れています。自分は、なぜこういうことをしているのかをしっかり説明できるようにスイングをつくり込んでいきましょう。
次回は、このアイアンの特性を理解した上で、この2つの視点の工夫を織り交ぜてスイングの解説をしていきます。
GM厳選!楽天GORAで全国ゴルフ場予約
GM編集部は、楽天GORAによるゴルフ場予約サービスを展開中です。9月は温泉地ゴルフ場特集!※クラブハウス内に温泉を引いていないゴルフ場もありますのでご注意下さい
編集部厳選の全国のゴルフ場をご紹介します。
東日本地区のおすすめはこちら。西日本地区のおすすめはこちら
今月のイチオシ!
伊香保カントリークラブ
(群馬県渋川市伊香保町伊香保654 関越自動車道・渋川伊香保 10km以内)
1959年開業の伊香保温泉を代表するコース。広めのフェアウエイながら傾斜のきつさがゴルファーを悩ませる。全体的に難しく、16番、17番でピークに。これを越えると池越えショートの17番とまっすぐな18番ロングとなるのでそこまでで気持ちを切らないように頑張りたい。よく手入れされたゴルフ場で、随所に名門の誇りが感じられる。
武雄・嬉野カントリークラブ
(佐賀県武雄市西川登町小田志18356番地 長崎自動車道・嬉野 5km以内)
「距離感」がテーマになるゴルフ場だ。ほどよい高低差や傾斜を考えながら距離感を掴みながらのラウンドは、ゴルフの上達を後押ししてくれるだろう。ここの楽しみは高麗グリーン。よほどの上級者でない限り、キャディさんをつけて高麗の芝でのパットを楽しみたい。温泉のお風呂や評価の高い接客も魅力。温泉湯豆腐はレストランで大人気のメニューだ。
8月号のアンケート「教えてください!はじめて100を切ったあの日」へのたくさんのご回答ありがとうございました。
アンケートにご回答くださった読者様の一部を掲載いたします。

Hemlock Golf Club, Ludington, Michigan / danperry.com
■takupapa様(宮城県 40代男性)
≪スコアとゴルフ場≫ 100切りに挑戦中
≪苦労していたこと≫ ドライバーの方向性
≪効果的だったと思う練習法≫ アプローチの練習
■カズ様(青森県 50代男性)
≪スコアとゴルフ場≫ スコア91 岩手沼宮内カントリークラブ
≪苦労していたこと≫ ドライバーの方向性
≪効果的だったと思う練習法≫ -
■kazu様(埼玉県 40代男性)
≪スコアとゴルフ場≫ スコア96
≪苦労していたこと≫ パッティング数
≪効果的だったと思う練習法≫ パターを変えた
■老年ビジター様(長野県 70代男性)
≪スコアとゴルフ場≫ スコア98 西仙台カントリークラブ
≪苦労していたこと≫ アイアンのダフリ
≪効果的だったと思う練習法≫ ゴルフ雑誌の読み漁り
■akihiro様(東京都 30代男性)
≪スコアとゴルフ場≫ スコア97 那須野ヶ原カントリークラブ
≪苦労していたこと≫ ティーショット (ドライバー)
≪効果的だったと思う練習法≫ 素振り
■武田さん様(熊本県 40代男性)
≪スコアとゴルフ場≫ スコア95 熊本南カントリークラブ
≪苦労していたこと≫ アプローチが安定しなかった
≪効果的だったと思う練習法≫ 距離感を考えてのアプローチ練習
(編集部より)
ご協力頂いた読者様ありがとうございました。100切りに挑戦中の皆様にはお答えづらいアンケートだったにも関わらず多数ご意見をお寄せいただきました。takupapa様、pigmom様ぜひ100切り達成されましたら教えてください!!100を切る工夫は、大変興味深く読ませていただきました。理論の研究や欠点の克服、地道なトレーニング・・・。方法はさまざまですが、「100を切りたい、うまくなりたい」という気持ちこそが絶対条件ですね。
GOLF-MODEでは、幅広いゴルファーの皆様に向けて基本を大切にした新コーナー、”「ゴルフのキソ!!」基礎基本を徹底!”の連載を開始しました。100切りを目指す方を中心に基礎基本に内容を絞って記事をそろえて参ります。ご愛顧の程、よろしくお願い申し上げます。
今月のアンケート「アイアンについて」のご意見募集中です。連載再開の「ゴルフのリクツ!!」との連動企画です。秋シーズンはアイアンの技術向上!がテーマ。こちらからご参加いただけます。

Father-in-law golf swing / danperry.com
恐怖は人間の行動に影響を与えるものである。
ゴルフビギナーにとって、最初に直面する恐怖は、クラブにボールが当たらないことだろう。たとえボールが当たるようになっても恐怖からは開放されない。「ヒッカケ」「ダフリ」「チョロ」・・・と悩みは尽きない。
ゴルフにとってこの恐怖がもたらす最大の問題点は、スイングの崩壊である。ボールが上手く当たらないことへの恐怖は、手打ちへ手打ちへと誘導し、正しいスイングを徐々に蝕んでいく。この恐怖を抱えている限り、ゴルフは決して上達しない。この恐怖の克服はとても重要な作業である。
さあどうするか?その解決方法は、地味ながらこれしかない。
「素振り」である。
恐怖からの開放は、その恐怖の克服でしか成し得ない。
恐怖の克服は、言い換えると「自信の獲得」である。素振りの最初の効果は、この自信の構築にあるといっていいだろう。ゴルフスイングの基礎を学んだらそれを実戦するためにどんどん素振りをする。素振りの最中に、前傾の維持や腰の回転、右足、左足の使い方・・・チェックポイントをひとつひとつ確認しながらスイングをつくっていく。ポイントを意識しならがスイングが出来ることも素振りのよさである。
ただ、素振りは楽しくない。でも楽しくラウンドする為には避けられない試練であると理解したい。振り込むにつれて自分のスイングに自信が生まれ始めたらしめたもの。「スイングだけなら、シングルですね」などといわれれば合格である。
もし、あなたが100を切ることを目指すゴルファーなら、しばらくボールを打つのを休み、じっくり振り込んでほしい。
ではどれくらい素振りをすればいいのか?それは次のお話である。

Distance / Zdenko Zivkovic
今回は、距離への意識の話をしよう。
今、ゴルフでは距離を測る計測器が普及している。愛用している人も多いだろう。セルフラウンドが多い方なら必需品かもしれない。計測器は正確な距離が分かり大変便利だ。しかし、距離を測り、クラブの番手選びの参考にする使い方で留まっていては十分に使いこなせているとはいえないだろう。なぜならば、機械に頼れば人間が進化しないからである。少なくとも、まずは次のように使うべきである。
まずは自分で距離を判断して、計測器でそのズレを修正する使い方である。
距離の感覚は、最終的には自分で掴まなければならない。それは、理想主義的な考え方で言っているのではない。
ゴルフに限らず、人間が把握する数字は、その数字の意味を体感できなければ役に立たないからである。
打ち上げの100Yと打ち下ろしの100Yでは、全く意味が違うのは言うまでもない。その異なる100Yに対してどのように対処するか。そのスキルを獲得して、はじめて100Yの数字は意味を持つのである。つまり目測している時点からスキルの獲得は始まっているのである。そこでの成功、失敗の情報を受け取った脳は、正しい方法としての記憶と失敗の修正という作業を行う。それが向上へと導くのである。
ここで考えをまとめておきたい。
距離は自分で目測すべきである。
短い距離ならば歩測することが望ましい。距離の感覚を体を使って獲得し、その体の感覚をもとにクラブの番手を選び、正しいと判断したスイングをする。成功と失敗を正しく検討し、次に活かす。経験に意味があるのは、このサイクルが正しく機能するからである。そして、そのスタートは目測から始まるのである。計測器は、あなたの成長を見守る陰の存在であるべきであろう。

Hotdog at Kyoto station / Ari Helminen
オーブンレンジのスイッチを入れた。パンを手にとってふたつに割り、バターをひいた。ソーセージに包丁で刻みをいれる。それからキャベツを切りはじめた。・・・フライパンにバターを溶かし、ソーセージを軽く炒めた。
次に千切りにしたキャベツを放り込んだ。塩と黒コショウ、それにカレー粉をふりかける。キャベツをパンにはさみ、ソーセージを乗せた。オーブンレンジに入れて待った。・・・ころあいをみてパンをとりだし、皿に乗せた。ケチャップとマスタードをスプーンで流し、カウンターに置いた。
惜しまれながら早世した作家、藤原伊織。江戸川乱歩賞と直木賞を同時受賞した藤原の代表作『テロリストのパラソル』の冒頭、主人公であるアル中のバーテンダー島村がやくざの浅井にホットドックを出す一節である。
ホットドックに「炒めたキャベツ」と「カレー粉」を使う。
これを懐かしいと感じるか新鮮と感じるか、あるいは当然のことと感じるかは読者のバックグラウンドにかかっているだろう。
炒めたキャベツとカレー粉を使ってつくるホットドックは、かつての日本の食文化では当たり前のことだったのだ。
「今、どの店でもソーセージにパンを挟んでいるだけ。だからホットドックは自分でつくる」という女性がいた。
50歳代の彼女は、母親が作ってくれたホットドックが一番であり、それには魚肉ソーセージと炒めないキャベツを使うのだという。
彼女にとってホットドックは、まさに家庭の味だったのだ。関西に縁がある方ならば、魚肉ソーセージをつかうホットドックといえば琵琶湖畔に車で店を出す「風月堂」を思いだすことだろう。昔の味を守り続けるうちに、東京のテレビ局が個性的な店として紹介する時代になってしまった。
「うん、うまい」
藤原が書いた「レシピ」に従って、でホットドックを作ってみた。あえて魚肉ソーセージを使って・・・。少し焦げた魚肉ソーセージの食感が心地いい。カレーの風味は食欲を掻き立て、やわらかくなったキャベツは甘みをともなって口の中に広がる。脂身の少ない魚肉は、パンとキャベツと味の歩調を合わせている。やさしい味わいは、刺激を嫌う。トマトの酸味はアクセントでいい。ケチャップは少なめがいいだろう。
確かに、刻んだ玉ねぎとボイルしたソーセージに粒入りマスタードをかけた本家のホットドックはうまいと思う。その一方で、かつての日本人が愛したホットドックも決して捨てたものではない。先の女性の子どもたちは、彼女の作るホットドックが大好きだという。こうした味をなんとか残すてだてはないものか。思いのほかコーヒーとあうこのホットドックを食べながらそう思うのである。